レンアイゴッコ(仮)
「私、今日は定時で上がらせていただきます。お互いカバーし合ってみんなで上がれるようにしましょう。よろしくお願いします」
今日は例のXデー。チームの打ち合わせの最後に定時上がりを宣誓すると「妃立さんが帰れるように頑張ります!」と食い気味の鈴木に「あんたは自分の仕事をしっかりね」と抑える。
「なあに、デート〜?」
一番前にある坂下先輩のデスクを横切ろうとすれば、どうやら聞こえていたらしく、にやりとした笑みを向けられた。
「デートじゃないです」
「またまた〜。こないだの誕生日の時も急いで帰ってたし、あのエンジニアの彼とデートだったんでしょ」
グサッまではいかないけれど、何も知らない坂下先輩の言葉がチクりと胸を突き刺した。
「……………………坂下先輩、その話は今度」
「OK〜、飲み行こうね」
ひらひらと手を翳す坂下先輩と別れ、自分のデスクにたどり着いた。向かいの島にいる東雲を一瞥すると、まるで初めからそうであったかのように、東雲と目が合う。
覇気は無いのに、圧があるのはどうしてか。
今日は例のXデー。チームの打ち合わせの最後に定時上がりを宣誓すると「妃立さんが帰れるように頑張ります!」と食い気味の鈴木に「あんたは自分の仕事をしっかりね」と抑える。
「なあに、デート〜?」
一番前にある坂下先輩のデスクを横切ろうとすれば、どうやら聞こえていたらしく、にやりとした笑みを向けられた。
「デートじゃないです」
「またまた〜。こないだの誕生日の時も急いで帰ってたし、あのエンジニアの彼とデートだったんでしょ」
グサッまではいかないけれど、何も知らない坂下先輩の言葉がチクりと胸を突き刺した。
「……………………坂下先輩、その話は今度」
「OK〜、飲み行こうね」
ひらひらと手を翳す坂下先輩と別れ、自分のデスクにたどり着いた。向かいの島にいる東雲を一瞥すると、まるで初めからそうであったかのように、東雲と目が合う。
覇気は無いのに、圧があるのはどうしてか。