レンアイゴッコ(仮)
東雲ルールはよく分からないので、両方、と捉えた。東雲の答えは「そうきたか」だった。間違いだけど、可能の範囲内らしい。

「あったかいうちに食べよ。美味しいよ」

「うん。美味い」

「ね。今日はマルゲリータにしたけど、キノコの和風ボロネーゼも美味しそうだったな」

「鈴木、キノコ嫌いらしいから今度はそれにしたら」

「どうして鈴木を引き合いに出すの?」

「こないだ、二人で一つの弁当を食ってたろ」

「ああ、あれは成り行きで……」

先週のやりとりを思い出すとふと闘争心に火がついた。

「なあに、まさかヤキモチ〜?」

言っておきながら、東雲とは縁もゆかりも無さそうなワードだなと、攻撃力の低さに期待なんかせずもう一枚のピザを折って先端を口に含んだ。

すぐに返ってくるはずの返事は聞こえなかった。

ピザから視線を移動させた。咀嚼を止めたのは、東雲の耳が赤らんでいたからだ。


「…………悪いかよ…………」

「え、」


──特大のカウンター紛いの反応が返ってくるなんて誰が思うだろう。
< 71 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop