レンアイゴッコ(仮)

ロフトラブの爪痕

「これが最後の恋になればいい」


最後の恋の相手、イコール、X。

遊ぶ相手は誰でもいいけれど、恋愛はちゃんと、段階を踏んで付き合っていたつもりだ。ぼろを出さないように注意して、“ビビッと ”の音に耳を澄ませて、誰になるか分からないXをただ追い求めていた。

別に多くは望まなかった。

私以外を選んだ人も、友人を優先した人も、仕事の方が大事だと言った人も、同じように好きだった。

恋が砕けると、やっぱり高望みだったのかなと落ち込むし、私に恋愛は向いていないのかと人並みに引きずる。


『いい加減、聞き分けのいいフリするのやめたらどうよ』


引き摺るけれど、東雲が毎回、徹底的に、溜めていたものを全部吐き出させてくれたから、前を向けていた。


その方程式に、とあるイレギュラー。

「(東雲で、最後?)」

利害関係の一致によって付き合っただけの存在。

“X、イコール、東雲琥珀?”

職場恋愛なんてする予定無かった。仕事に私情を持ち込みたく無かったからだ。

東雲は同僚。線引きは見極めないと。

そんな私の思惑を、東雲はあっさりと打ち砕く。
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