レンアイゴッコ(仮)
よろよろと視線を下げた。

慣れていない。

理由を上げるとするなら、彼氏モードの東雲への耐性が圧倒的に不足している。

前回私がその方法で抱きしめることを許したわけで、もう一度いけると思ったのか。

調子に乗るな……!

机の下に潜んだ東雲の足の甲をぎゅうっと踏んづけた。東雲の綺麗な顔が歪むけれど、このくらいで手は離れない。

「……ってえ……!」

「……えっ、東雲さん大丈夫ですかあ?」

向かい側で宮尾ちゃんが心配そうに覗き込む。可愛い。

それに対して、私は可愛くないな〜……と自分でもおもう。宮尾ちゃんみたいに「いいよ」って言えばいいのに、素直に受け入れることも出来ないのだから。

宮尾ちゃんに対して東雲は口を開けば平然と「妃立が」と爆弾発言をしようとするので、慌てて、「東雲くん、ちょっと黙ろうか!!」と、慌てた。繋がれたその手を引っ込めようとしてもびくともしない。


「それより妃立、こないだ言ってたけど彼氏となにかあったの?」

「……!」


東雲への攻防に神経を尖らせていると、坂下先輩が先日の話を蒸し返す。

今、その話題はやめてください坂下先輩……!
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