コイワズライ

2

♪♪♪~~~


アラームに設定している音楽が流れ、すぐに画面をタップして止めた。いつもならしばらく鳴りっぱなしなんだけど、今朝はすぐに目が覚めた…というより眠れなかった。


昨日の(なお)くんが頭から離れなくて。


(……がっこういかなきゃ)


***


電車に揺られて5駅、学校の最寄駅のホームに着くと同じ制服を着た学生がたくさん。話をしながら、スマホをいじりながら、音楽を聞きながら、皆ぞろぞろと改札に向かう。


(こと)!おはよ~」


改札を出たところで(なお)くんに出会った。


「お、おはよう」


いつもの朝の光景の中に(なお)くんがいる。それだけで今日が特別に感じる。


「電車通学の人けっこう多いね~」


「え?(なお)くん、電車じゃないの?」


「うん。バス。今日は(こと)を迎えに来た」


眠そうに目をこすりながらへにゃりと笑う。


(はぁぁぁ~~(なお)くんの周りが輝いてみえる…!)


朝から隣に並んで一緒に登校できるなんて。昨日の出来事は夢じゃなかったんだ。


「ねぇ、昨日の返事聞かせてよ」


「…今?」


「ダメ?」


(なお)くんのトレードマークの八の字眉がさらに下がって私をじっとみつめる。


(あぁ、もう…だからそんな顔でみないで)


慌てて視線をそらし、小さくため息をついた。


「ご、ごめん…き今日中には返事するから」


小さな笑い声が聞こえて隣をみると、(なお)くんがそっぽを向いてクスクス笑っていた。口元に手の甲をあてて。


(やばい!すきすぎる!その仕草は反則だ…なんで笑ってるのかよくわからないけど)


「うん、わかった。じゃあ、放課後ね」


そう言って私の頭をぽんぽんする(なお)くん。


(うわあああ!!それも反則だよ~~~)


だめだ、朝からこんなの…心臓がもたない。


学校の下駄箱に着くまで、(なお)くんが隣でなんでもないことを話していて、私は時折相槌をうつのが精一杯だった。
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