コイワズライ

4

屋上に出ると少し風があり肌寒い。
(なお)くんはさっさと歩いて色褪せたベンチに座った。私も後を追い少し距離をとって(なお)くんの隣に座る。


(こと)


呼ばれて(なお)くんの方を向いた。


「昨日も言ったけど…」


徐々に赤くなる(なお)くんの顔。


「すきなんだ…自分でもよくわからないけど、ずっと(こと)のことばっか考えてて…どんどんすきがでかくなって」


まっすぐに私をみつめる瞳は時々恥ずかしそうに伏せられる。


「言わなきゃおかしくなりそうだったから」


そう言い終えて一息つくと、せつなげな(なお)くんの視線が私をとらえた。


「付き合ってほしい」


昨日と全然違う(なお)くんの表情。
昨日はやわらかく笑っていて落ち着いていたのに、今日の(なお)くんは顔を赤くして伏目がち。時々合う目は潤んでいてすがるように私をみる。いつもの余裕は感じられない。


ずっと憧れていて(なお)くんをみていたけど、こんな(なお)くんは初めてだ。


((なお)くんかわいい…)


私なんかが(なお)くんにつり合うわけがない。私なんかが(なお)くんと付き合うなんておこがましい。…と思っていたけど、目の前の(なお)くんはひた向きに想いを伝えてくれてる。私のことを本気で好きになってくれてる。


だから、私も…

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