コイワズライ

2

「だいたいさ~犬っぽくて猫っぽいってどんな人だよって思わない?」


「は?なんの話?」


(じゅん)のタイプの話~」


「あぁ、あの人天然だからね。まぁ適当に流しときゃいいんじゃない?」


「アンタも適当だけどね!」


「でも、かわいい子っていうのは本当だと思う。(じゅん)先輩自体がかわいいからね~彼女にするなら(じゅん)先輩よりかわいくなきゃね~」


「ドS!バカ!(なお)のバカ!!」


「あはは~美咲(みさき)先輩もまぁまぁかわいいからさ。大丈夫、大丈夫」


「また適当なこと言って…」


学校の近くの公園に3匹の地域猫がいる。地域猫とは、もともとノラ猫だった子たちをボランティア団体が保護し去勢・避妊手術をして地域で飼っている。ノラ猫が増えすぎないようにするための活動である。


私と(なお)はこの地域猫ちゃんたちにご飯をあげているところ。金曜の午後は私たちがエサやり当番に当たっている。ちなみに、(じゅん)は今日は委員会で遅くなるとかで不在。


「ユウト~、ちゃんと食べないと元気でないぞ~」


「ユウト、食欲ないな。大丈夫か?」


「相変わらずナオは大食いだね~誰かさんにそっくり」


「うるさいな」


痩せっぽっちの白猫はゆうと、おデブの黒猫はナオ。そして、小さくて目がくりくりのトラ猫はジュン、と私が勝手に命名して可愛がっている。


「あれ?ジュンどこいった?」


「ご飯の時はいつもちゃんと帰ってくるのに…私探してくる」


あの子怖がりだから公園の外には出てないと思うんだけど…


「ジュンー!ご飯だよ~」


遊具の上や植え込みの中、トイレの裏やベンチの下、園内を見回して探すけれどジュン(トラ猫)の姿は見当たらない。外に出ちゃったのかな。


出入り口に向かっているとジュン(トラ猫)が公園の外へ飛び出していくのがみえた。


「ジュン!」


慌てて追いかけると公園のすぐ横の道路に出て行こうとしている。


「待って!行っちゃダメ!」


焦って駆け寄ったのがいけなかった。ジュンは走ってくる私に驚いて、車が走っている道路に飛び出して行ってしまった。


「ジュン!!!」
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