コイワズライ

4

今の聞き間違いかな?


「…けっ結婚って?」


「だって美咲(みさき)危なっかしいから。傍で見守らないと、ね?」


ちょっと待って!飛ばしすぎなんですけど!!付き合ってもいないのに、急に結婚とか!!


落ち着け、私!(じゅん)は天然なんだ。真に受けて舞い上がっちゃだめ!


「…えっと、冗談だよね?」


また、さっきみたいに真剣な顔をして私をみる。いつもくりくりの大きな目が鋭く光り、睨むような視線にドキドキして、どうしたらいいのかわからない。


「さっきの流れじゃ冗談っぽく聞こえても無理ないか」


苦笑すると、はぁと息を吐いてまた私に視線が戻る。


「本気だよ」


ゴホンッと咳払いし、一拍置いてからまた話し始めた。


「…美咲(みさき)のこと、すきなんだ。…結婚は、いつか、いつかそうなったらいいなって…」


だんだん赤くなっていく(じゅん)の顔。大きな瞳が瞬きをする度に揺れる。


目の前の光景が信じられなくて実感がない。ただ、さっきから心臓がドキドキとうるさく鳴り響いて、これは現実なんだと私に告げる。


「…私も…私も(じゅん)のことが」


最後まで言い終わらないうちに(じゅん)が私を包みこんで胸のなかに閉じ込める。


「……(じゅん)?」


「…続き、聞かせて?」


耳元で聞こえる(じゅん)の声。吐息がかかるくらい顔が近くにあって、ますます私の心臓は大きな音を立てる。


「……すき」


美咲(みさき)~~!!」


私の名前を叫んでぎゅうぎゅう抱きしめる。


「…や、痛いよ~」


腕が解かれたと思ったら、そっと唇が重なり、驚いて(じゅん)をみると、真っ赤な顔をして笑っていた。


「これからもずっと、俺の傍にいてください」


「はい」


天然で少し抜けてるところもあるけど笑顔がかわいい(じゅん)
本当はいつも一生懸命で、がんばってる姿がかっこいい(じゅん)
真面目で時々自分を責めちゃうところがあって心配だけど、その分私が傍にいるから…


そんなとこも全部ひっくるめて(じゅん)がすき


「すきだよ」









「そういえば、(じゅん)のすきなタイプって」


「犬っぽくて猫っぽくてかわいい人?」


「そうそれ!」


「実は、美咲(みさき)のこと頭に浮かんで美咲(みさき)のイメージをそのまま言った」


「私のことだったの!?」


「うん。美咲(みさき)って人懐っこいとけど気まぐれなとこもあるじゃない?だから犬でもあるし猫でもあるなぁと思って」


「そっか…(じゅん)らしいね」


「あれ?美咲(みさき)落ち込んでる?」


「いや、(じゅん)の天然にはもう慣れた」


「え~美咲(みさき)~?」
< 18 / 64 >

この作品をシェア

pagetop