コイワズライ
2
公園の木々や遊具にも雪が積もっていて、ベンチに積もった雪を2人で払いのけて座った。ジュースを買いに行くと葉ちゃんが自販機へ歩いて行った。私は、沈みかけている橙色の太陽をぼんやりとみつめていた。
水色とオレンジと紫のコントラストが綺麗で、この季節この時間帯の空が好きだ。
「わっ!?」
頬に暖かいものが触れて驚いていると、葉ちゃん|がニシシと笑ってココアをくれた。驚かされたのだから文句を言ってやろうと思ったけれどココアをくれたから許してあげよう。
「…ありがとう」
葉ちゃんの手にはおしるこ。
「またそれ?いつもおしるこで飽きないの?」
「冬はおしるこかコーンポタージュなんだよ。瑞稀こそ、いつもココアで飽きないの?」
「冬はココアかミルクティーなのだよ」
「おしるこもうまいのに…飲んでみる?」
「やだよ、味が混ざる」
「うまいものとうまいものを混ぜたら、さらにうまいものになるんじゃない?」
「えー!絶対変な味になるってーー」
ふわりとおしるこの甘い匂いがしたと思ったら葉ちゃんの唇が降ってきて、触れるだけのキスをして離れていった。
「ん~今のじゃわかんねぇな」
「こ、こら!こんなとこでなにしてーー」
またおしるこの甘い匂いに包まれて、さっきよりも長くて深いキス。頭の中がふわふわになって溶けてしまいそう。
「…っ、あまい」
離れた葉ちゃんは舌なめずりをして息を吐いた。
(わああああ…色気だだ漏れ…)
不意にキスをしたり男の色気をだしてくるから本当に困る。中学の頃から一緒にいるけどいつの間にこんな大人の男の人みたいな顔をするようになったんだろう。
「瑞稀?」
彼の射抜くような鋭い視線に耐えられなくて、背中を向けてココアを一気飲みした。
「…っごほっ…げほっ、ごほ」
むせた。
「大丈夫か?」