コイワズライ

「そんな顔、しないでよ」


一番の原因は私だとわかっているから余計にもどかしい。


「私、(さく)に助けられてばっかりで…席替えの時もマックの時も今回も。本当にありがとう」


「俺は別になにも…」


「ううん。嬉しかった。今もね、またこうやって話せるようになってすごく嬉しくてーー」


「ごめん」


急に話を遮り、私の手をそっと離した。


「ごめん。また勝手に期待するから、これ以上は…ごめん」


私の顔も見ずに背中を向けて去って行く。あの時みた後ろ姿と同じ。
あの頃はただ戸惑ってなにも言えずにいたけれど、今は違う。


(さく)!」


いつの間にか走り出して(さく)の背中に抱きついていた。


「…美羽(みう)?」


今度は私から伝えなきゃ


「…すきです。あの頃からずっと」


(さく)が振り向こうとする。


「待って…恥ずかしいから、こっち見ないで。そのまま聞いて」


また前を向いたのを確認し、話を続ける。


「中3の時に(さく)に告白されて、あの時はびっくりしたけど本当は嬉しかった。でもなんて言ったらいいのかわからなくて…なにも言えなくて…ずっと後悔してた」


「ってことは、俺ふられてないの?」


「なにも言ってないのに(さく)が勘違いしてたんだよ」


「ってことは、美羽(みう)も俺のことすき…?」


「だから、そう言ってるでしょ!」


途端に膝から崩れ落ちる(さく)。びっくりして(さく)を抱きしめていた腕を解いた。


「なんだよそれ~2年も余計に片想いしてたってこと?」


「し、知らないよ~私のせいじゃないもん」


はぁ~と盛大にため息をついたかと思ったらニヤリと笑う。


(な、なに!?怖いんだけど)


次の瞬間、包み込むように(さく)に抱きしめられた。


美羽(みう)のバーカ…」


耳元、甘い声で悪態をつかれて腰が砕けそう。


「…っ、だから私のせいじゃーー」


今度は唇を塞がれて、なにも考えられない。身体が熱くて溶けてしまいそう。


「…んっ……ふぅ…」


何度か角度を変えてその度に吐息がもれて、頭の中がふわふわする。


ゆっくりと唇を離すと、私の髪を撫でて微笑む(さく)


「今から2年分うめないと…」


そう言ってまた優しくキスをした。




お互いがお互いの想いに気付かずに
ずっと変わらずに片想いしていたなんて
ある意味奇跡だよね




「2年分って、どれくらいキスしたらうまるの?」


「キスだけじゃ足りないでしょ」


「え…」
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