コイワズライ
4
ふわりと葉ちゃんの腕に体が包まれる。
「ずっと不安だったんだろ?…瑞稀、あんまりそういうこと言わないから、また溜め込んでんのかなって思って」
だめだ…苦しい。胸が苦しくて泣きそう。
「不安だとか寂しいとか、我慢すんなよ。今みたいにぶつけてくれていいから。溜め込むの、瑞稀の悪いクセだぞ」
優しい優しい葉ちゃんの声で、私の目からは堰を切ったように涙があふれた。
「だって…言えないよ……葉ちゃんはずっと笑顔だから…私もなるべく笑顔でいようって…思って」
ぎゅっと強く抱きしめられて、私も葉ちゃんの背中に腕を回した。
「ばーか。瑞稀はもっと甘えていいの。もっと俺に頼っていいんだぞ?」
「…そんなの、どうしたらいいか…わかんないよ」
そっと腕を解いた葉ちゃんは私の泣き顔をみて優しく笑ってくれた。
頬に光る涙の跡にそっとキスをして、しょっぱいってまた笑った。
「本当に瑞稀は甘え下手だな~不器用だし、どんくさいし~」
「うぅ…だってしかたないでしょ…それが私なんだもん」
「思ったことを口に出して言ってみな?」
「思ったこと?」
「うん。今、どんなこと考えてんの?」
「今は……」
「ほら、なんでも言ってみ?」
「……葉ちゃん、すきだなぁって思った」
「え…」
「な、なによ…思ったこと言えっていうから」
「(それにしても直球すぎる。やばい。かわいい!!)……あぁ、えーっと…俺もすき」
「そんな取ってつけたように言わなくてもいいよ…」
「ほ、ほんとだって!瑞稀がすき…」
いつも笑顔の葉ちゃんが慌てて真っ赤な顔して言うから
「葉ちゃんが…すき」
背伸びをしてキスをした。
「瑞稀~~~~~」
ぎゅうぎゅう抱きしめられて、痛い、バカ!って叩いたら、なぜかお姫様抱っこされて。
「ちょっと、葉ちゃん!?」
「このままお持ち帰りすることにした」
「え~~~おろせ、バカ葉~~」
春になったら別々の道を歩くけれど
今まで一緒に歩いてきた足跡は消えないから
私たちは大丈夫