コイワズライ

「あ、うん」


ストッキングを脱ぐと千晃(ちあき)が絆創膏を持ってきてくれた。


「ありがと」


絆創膏を受け取ろうと手を伸ばすと、千晃(ちあき)がかがむ。


「ここに足のせて」


ベッドに座っている私の足元にかがんで片膝をついている。太ももに足をのせろと自身の太ももをペチペチ叩いている。


「え、いいよ。自分で貼るし」


「いいから」


じっと大きな目で見上げられると何も言えなくなる。


ゆっくりと千晃(ちあき)の太ももに左足をのせた。ティシュで血を拭い、めくれた皮を小さなハサミで切ってくれた。そして丁寧に小指に絆創膏を巻いてくれた。


「はい、終わり」


いくら付き合っていても、足をこんなにじっと見られたことなんてないし、こんなに丁寧に触れられたこともなかったから、なんだかくすぐったい。
しかも、いつも見上げている千晃(ちあき)を今は私が見下ろしていることに妙にドキドキしていた。


「お姫様になった気分」


「絆創膏貼っただけだけど?」


千晃(ちあき)に貼ってもらったから特別なんだよ!」


「ははっ」


え?ははっで終わり?


千晃(ちあき)の中ではもう会話が終了しているらしくクローゼットを開けて服を選んでいた。


ほんとマイペースだな。それが千晃(ちあき)だからもう慣れっこだけどね。


「あ、この映画!めっちゃ古いやつじゃない」


ベッドの上に放置されていたDVD、パッケージには金髪の男女が。洋画のラブストーリーらしく、恋に落ちた男女が家族の反対により許されない関係になってしまい…とかなんとか。


隼人(はやと)先輩が見ろって貸してくれて」


「まだ見てないの?」


「う~ん、まぁいいや」


「まだ時間あるし見ようよ!」


「間に合う?」


「点灯5時半だから大丈夫」


…ということでDVDを見る流れに。
部屋が暗いのと今朝早起きしたのと、映画の展開が単調なのとで、始まって30分なのに眠くなっております。そして、隣に座っている彼も船を漕ぎ出しました。


「おぉ?」


完全に落ちてしまったようで私の肩にもたれかかる千晃(ちあき)


「も~重い~」


肩から引き剥がしてベッドに寝かせた。


恵菜(えな)~」


寝ぼけたまま私の腕を引っ張り毛布の中へ引き込む。


やばい…これは、いつもの展開じゃないか


鼻を首筋に押し当てて私の匂いを嗅ぐ千晃(ちあき)


「いい匂いする」


あ、香水つけたんだ。けっこう時間経ってるのにまだ匂うんだ。


千晃(ちあき)?ダメだよ?しないよ?」


そんな言葉などお構いなしに千晃(ちあき)がキスをしながら私の足に手を這わせている。


うわ…ぞくぞくする。
さっき絆創膏を巻いてもらったことを思い出してドキドキした。足まで性感帯になったかも…やばい
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