コイワズライ
2
「唯~!」
「…」
「おーい、唯ー!」
「唯、仁先輩呼んでるよ?」
隣で歩く友達のミキが、後ろから歩いてくる仁先輩をチラチラ振り返りながら私の様子をうかがっている。
「早く行こう!チャイム鳴る!」
「わぁーー!!」
「ぎゃあぁあっっ!!!」
仁先輩を無視してスタスタ歩いていると、背後から肩を叩かれて耳元で大声を張り上げられた。
「ぶふっ!ぎゃあって、色気のない悲鳴!」
「なにしてるんですかー!!心臓飛び出るかと思った…」
「次、体育?1年ってなにすんの?」
「今日は50メートルのタイムを測るんです」
私をスルーしてミキと話をする先輩。私たちがジャージ姿なので体育だとわかったようだ。
「唯どんくさいからな~コケるなよ?」
「うるさいです、大きなお世話です、ミキ行こう!」
ミキの手を引いて早歩きで仁先輩の横を通り過ぎた。失礼します、とペコリと頭を下げるミキ。がんばれ~、とヒラヒラと手を振る仁先輩。
「いいなぁ~唯、仁先輩に気に入られてて」
「どこが!?からかわれてるだけだよ!?」
「そんなこと言って満更でもないくせに~」
移動教室、廊下で仁先輩に遭遇する度にちょっかいをかけられる。最初は普通に話しかけられるだけだったのに、最近ではさっきみたいにイタズラをされたり大声で名前を呼ばれたりして、エスカレートしている。
おかげで、あの1年は仁のペットだとか、仁に気に入られて調子に乗っているだとか、陰口を叩かれたり変な噂を立てられたり。
仁先輩は良くも悪くも目立つ人で友達も多く、あわよくばお近づきになりたいと思っている後輩は数知れず(特に女子)。
そんななか、特に目立つわけでも可愛いわけでもない私がなんの努力もせずに仁先輩の目に留まったことが、過激派の仁ファンの怒りを買っているらしい。
靴の中に画鋲が入っていたり、置き傘を盗られたり、ノートを破られたり、と地味な嫌がらせを受けるようになった。
今のところ相手にしないよう放置しているが、これ以上酷くなるようなら私も黙っていない。
ってか、私に嫌がらせするヒマあったら仁先輩に好かれる努力をすればいいのに。こんなことしてるから仁先輩に相手にされないんだよ!バーカ!!
って叫びたいけど我慢だ…
憧れの人を想うが故の嫉妬心、まぁわからなくもないけどさ…
「…」
「おーい、唯ー!」
「唯、仁先輩呼んでるよ?」
隣で歩く友達のミキが、後ろから歩いてくる仁先輩をチラチラ振り返りながら私の様子をうかがっている。
「早く行こう!チャイム鳴る!」
「わぁーー!!」
「ぎゃあぁあっっ!!!」
仁先輩を無視してスタスタ歩いていると、背後から肩を叩かれて耳元で大声を張り上げられた。
「ぶふっ!ぎゃあって、色気のない悲鳴!」
「なにしてるんですかー!!心臓飛び出るかと思った…」
「次、体育?1年ってなにすんの?」
「今日は50メートルのタイムを測るんです」
私をスルーしてミキと話をする先輩。私たちがジャージ姿なので体育だとわかったようだ。
「唯どんくさいからな~コケるなよ?」
「うるさいです、大きなお世話です、ミキ行こう!」
ミキの手を引いて早歩きで仁先輩の横を通り過ぎた。失礼します、とペコリと頭を下げるミキ。がんばれ~、とヒラヒラと手を振る仁先輩。
「いいなぁ~唯、仁先輩に気に入られてて」
「どこが!?からかわれてるだけだよ!?」
「そんなこと言って満更でもないくせに~」
移動教室、廊下で仁先輩に遭遇する度にちょっかいをかけられる。最初は普通に話しかけられるだけだったのに、最近ではさっきみたいにイタズラをされたり大声で名前を呼ばれたりして、エスカレートしている。
おかげで、あの1年は仁のペットだとか、仁に気に入られて調子に乗っているだとか、陰口を叩かれたり変な噂を立てられたり。
仁先輩は良くも悪くも目立つ人で友達も多く、あわよくばお近づきになりたいと思っている後輩は数知れず(特に女子)。
そんななか、特に目立つわけでも可愛いわけでもない私がなんの努力もせずに仁先輩の目に留まったことが、過激派の仁ファンの怒りを買っているらしい。
靴の中に画鋲が入っていたり、置き傘を盗られたり、ノートを破られたり、と地味な嫌がらせを受けるようになった。
今のところ相手にしないよう放置しているが、これ以上酷くなるようなら私も黙っていない。
ってか、私に嫌がらせするヒマあったら仁先輩に好かれる努力をすればいいのに。こんなことしてるから仁先輩に相手にされないんだよ!バーカ!!
って叫びたいけど我慢だ…
憧れの人を想うが故の嫉妬心、まぁわからなくもないけどさ…