コイワズライ

ーー翌日、とうとう旧校舎裏に呼び出された。呼び出してきたのは見たことない3人組、たぶん2年か3年の先輩。


「アンタ、(じん)と付き合ってんの?」


「いえ」


「じゃあ、(じん)に近付かないで」


(ん?私からは近付いてないんだけどな?)


「聞いてんの?」


3人の中で一番気が強そうな人がズイッと前に出てきて睨まれる。


(うわぁ、恐い~~。ここは大人しく従った方がいいのかな。でも…)


「先輩たちは(じん)先輩のことが好きなんですよね?」


「そうだけど…(じん)は皆のものなの!アンタみたいな奴にうろちょろされると腹立つんだよね!だからーー」


「好きなら、こんなことしてないで好かれる努力をしたらどうです?」


「は?(じん)は私らなんか相手にしないよ。アンタのこともね。だからさ、勘違いで惨めな想いする前に私らが忠告してやってんの」


「そうやって最初から諦めて足の引っ張り合いですか。だからダメなんですよ」


「なにコイツ、マジで調子乗ってるし!」


グイッと胸倉を捕まれ、恐くてぎゅっと目を閉じた。


(わっ!殴られる!?)


ガラガラガラー、と勢いよく真後ろの窓が開き、よっと(じん)先輩が窓から出てきた。
パッと胸倉を捕まれていた手が離れていく。


(じん)、なんでここに?」


「ここ、空き教室で俺の昼寝場所。お前らうるさいから起きちゃったし」


「あ、そうなんだ」


「で?コイツになにしてんの?」


「べ、別になにも」


「昨日、水ぶっかけたのもお前ら?」


「なにそれ、知らない」


「俺の大事な人だから手ぇ出すのやめてね」


「大事な人って、ただの後輩でしょ?」


「彼女(になってほしいなと思ってる)」


「はい?先輩なに言ってーー」


なぜか手の平で口をふさがれた。


「付き合ってんだよ(予定)。だから、手ぇ出したら許さねぇから」


「ウソでしょ?なんでこんな子ーー」


「もういいじゃん、行こ」


3人とも涙目になりバタバタと走り去ってしまった。
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