コイワズライ
6
走っていると胸が痛くなってきた。あれ?動悸?息切れ?体力落ちたかな?
校門を出たところで速度を落とし胸を押さえてゆっくりと歩く。目の奥の方から涙がこみ上げ粒になってぽろぽろと頬を伝う。
「おい」
耳慣れた低い声にドキッとした。声の主はわかっているのに振り返ることができない。
「新奈」
肩を掴まれて引き寄せられる。私を見た伊吹は驚いて目を大きく見開いた。
「…なに?」
「……ごめん。先輩の前であんなこと言って」
「別に気にしてないよ」
「泣いてんじゃん」
「これは…違う」
「違うってなんだよ。先輩の前でストーカー呼ばわりしたから怒ってんだろ?」
「だから違うってば」
「じゃあなんでーー」
あークソッ!と頭を掻いてため息を吐く伊吹。チラと私を見て手を握り、行くぞと引っ張って歩き出した。
黙って伊吹について行く。辿り着いたのは近所の公園、小学生が砂場や遊具で遊んでいる。その横を通り過ぎ奥にあるベンチに座った。伊吹は自販機まで走って2本飲料を買い、そのうちの1本を私にくれた。それを口に含むとちょっと苦いレモンの味がした。
「……伊吹にウザいって言われるのなんて慣れてるはずなのに今日はなんかすごく悲しくなっちゃって」
「だから泣いたの?」
「うん、伊吹怒ってたし…本当はずっと私のこと鬱陶しかったのかなって」
「違う…新奈が他の男のこと話したり仲良くしてんのが嫌で、イライラして言っただけだから。本当にウザいなんて思ってない」
「本当?」
「おー」
「よかったぁ」
「だから…俺以外の男と仲良くなるの禁止」
「え?」
「と、とにかく男と話すな!」
「そんなの無理だよ。千晃は?」
「特別に千晃だけ許してやる。それ以外は禁止!」
「なにそれ~意味わかんない」
「うるせー、お前は俺の後ちょこちょこついて来てればいいんだよ」
立ち上がって、行くぞ、と手を握り引っ張って歩き出す。斜め後ろから見る伊吹は耳まで真っ赤になって、繋いだ手も熱を持っていた。
伊吹は私のことをーーすき?
なんだか私の顔も熱くなってきて、真っ赤な顔を見られないように下を向いた。
甘い甘いミルクティーも好きだけど、ちょっと苦いレモンティーが私には合っているのかもしれない。
校門を出たところで速度を落とし胸を押さえてゆっくりと歩く。目の奥の方から涙がこみ上げ粒になってぽろぽろと頬を伝う。
「おい」
耳慣れた低い声にドキッとした。声の主はわかっているのに振り返ることができない。
「新奈」
肩を掴まれて引き寄せられる。私を見た伊吹は驚いて目を大きく見開いた。
「…なに?」
「……ごめん。先輩の前であんなこと言って」
「別に気にしてないよ」
「泣いてんじゃん」
「これは…違う」
「違うってなんだよ。先輩の前でストーカー呼ばわりしたから怒ってんだろ?」
「だから違うってば」
「じゃあなんでーー」
あークソッ!と頭を掻いてため息を吐く伊吹。チラと私を見て手を握り、行くぞと引っ張って歩き出した。
黙って伊吹について行く。辿り着いたのは近所の公園、小学生が砂場や遊具で遊んでいる。その横を通り過ぎ奥にあるベンチに座った。伊吹は自販機まで走って2本飲料を買い、そのうちの1本を私にくれた。それを口に含むとちょっと苦いレモンの味がした。
「……伊吹にウザいって言われるのなんて慣れてるはずなのに今日はなんかすごく悲しくなっちゃって」
「だから泣いたの?」
「うん、伊吹怒ってたし…本当はずっと私のこと鬱陶しかったのかなって」
「違う…新奈が他の男のこと話したり仲良くしてんのが嫌で、イライラして言っただけだから。本当にウザいなんて思ってない」
「本当?」
「おー」
「よかったぁ」
「だから…俺以外の男と仲良くなるの禁止」
「え?」
「と、とにかく男と話すな!」
「そんなの無理だよ。千晃は?」
「特別に千晃だけ許してやる。それ以外は禁止!」
「なにそれ~意味わかんない」
「うるせー、お前は俺の後ちょこちょこついて来てればいいんだよ」
立ち上がって、行くぞ、と手を握り引っ張って歩き出す。斜め後ろから見る伊吹は耳まで真っ赤になって、繋いだ手も熱を持っていた。
伊吹は私のことをーーすき?
なんだか私の顔も熱くなってきて、真っ赤な顔を見られないように下を向いた。
甘い甘いミルクティーも好きだけど、ちょっと苦いレモンティーが私には合っているのかもしれない。