ヨルの探偵Ⅰ
Prolog
「──……ねえ、あの話知ってる?」
「なに? 知らない」
「真夜中の二時、錆びれた電話BOXから繋がる探偵屋の話だよ」
「探偵屋……?」
「そう、探偵屋。夜の探偵屋。何でも調べてくれる代わりに、その人が一番大事にしてるものをお代として貰うんだって」
「なにその御伽噺みたいな話」
「私も最初は信じてなかったの……。でも友達が掛けたら本当に繋がったんだって」
「うそ……。本当に?」
「ホントの話。ただ受話器をとって、3コール待つと繋がるの」
「え、番号は?」
「ないの。ただ3コール待つだけ」
「そんなことあるの? そんなのまるで
────────別世界に繋がってるみたい」