ヨルの探偵Ⅰ
Prolog



「──……ねえ、あの話知ってる?」

「なに? 知らない」

「真夜中の二時、錆びれた電話BOXから繋がる探偵屋の話だよ」

「探偵屋……?」

「そう、探偵屋。夜の探偵屋。何でも調べてくれる代わりに、その人が一番大事にしてるものをお代として貰うんだって」

「なにその御伽噺みたいな話」

「私も最初は信じてなかったの……。でも友達が掛けたら本当に繋がったんだって」

「うそ……。本当に?」

「ホントの話。ただ受話器をとって、3コール待つと繋がるの」

「え、番号は?」

「ないの。ただ3コール待つだけ」

「そんなことあるの? そんなのまるで

────────別世界に繋がってるみたい」

< 1 / 538 >

この作品をシェア

pagetop