ヨルの探偵Ⅰ
辛いカレーを咀嚼しながら、頃合いを見て2人の間に手を伸ばし「ストップ」と声を掛ける。
ヒートアップされても困るし、何より可愛い弟分の虎珀くんから笑顔が消えている。無関係の者が勝手に聞く話でもない。
ハッとした表情の2人を前にスプーンを置いて、にこりと微笑んだ。
「あのさ、2人ともこれからいつでも会えるってことを頭に置いておきなよ」
「……そ、う、だね〜……」
「うん。そして、虎珀くん」
「なに? お姉さん」
言葉に詰まりつつ、一旦引いてくれた蒼依くんから視線を外す。皆が気になるだろう、今まで放置していた虎珀くんの事情に、私も少しばかり触れることにした。
「君がこの家に来たその日に、私はこの家の家主にも君の家庭にも承諾を得ている。端的に言うと、君についての責任は全て私が取るから、何も心配するな〜! 気にするな〜ってことだ!」
「……マジか」
「大マジ!」
ムンッ! と胸を叩いて誇らしげに報告すると、虎珀くん含めた4人が目を見開いたり、スプーンを持つ手が止まっていたり、様々な反応を見せてくれる。
優介くんの驚いた顔、写真撮ればよかったなと思いながら、この空気の中カレーを口に運んだ。