ヨルの探偵Ⅰ
話したことは嘘じゃない。
この家にやってきたその日に、私は家主である保護者に電話して報告と承諾を得た。次の日には、虎珀くんの実家にも足を運んで承諾を得た。
彼の責任を私が取ると宣言した日から、虎珀くんの生活費も私が全て出している。この家にいる限り私が面倒を見ると誓ったからだ。
大袈裟だと言うかもしれないが、何せこの家では私が法で番人なので悪しからず。
私は、私の行動にも責任を持つ。
「つまるところ、実は虎珀くんは居候人ではなく家族ということになーる」
「…………家族……」
「そう! 虎珀くんが嫌なら同居人でも可だよ! でも私は家族として接してる!」
まだ頭の処理が追いつかないのか困惑した様子の虎珀くんに、もう状況が飲み込めたのかカレーを食べるのを再開した朝陽。
何だか2人とも面白いなと思いながら、戸惑った顔の優介くんと驚いて口が開いたままの蒼依くんを盗み見した。
私と朝陽だけが普通な顔してカレーを食べてる空間で、虎珀くんが不安げに顔を上げる。
「お姉さん……マジでいいの?」
「ん? もちろん。前から虎珀くん私のこと〝お姉さん〟って呼んでくれてるし、私は弟が2人って思ってたよ」
「……あ、ありがと」
「どういたしまして。水無瀬家へようこそ」
嬉しそうにはにかんだ虎珀くんに癒され、私は反対方向の2人にも顔を向けた。
驚いてた顔も次第に納得したような顔になっていて、私としては別に詳しく話す必要もないから、そのあとは口を開かずカレーを平らげた。