ヨルの探偵Ⅰ
よかったと思ったのも束の間、俺は何故授業にも出れずに毎日こんなことしてるんだと項垂れる。
どれもこれも、放っておくと何かしら問題を起こすあいつらのせいだ。
蒼依に至っては、ナンパしては土壇場で女を振るキャッチアンドリリース式の女遊びのせいで、俺に苦情がくる。しかもこれがほとんど毎日。
見た目が良ければコミュ力高い蒼依は、この辺では有名。
美男子で、色気もあり、喋りやすい雰囲気の蒼依はアイドルのようだ。そっちの道に進めば確実に儲かる。
しかし、女に刺されても文句を言えない蒼依がアイドルなんてしたら血を見るのは間違いないので、無理なのはわかりきっている。
「はぁ、なんで俺はこんな疲れてるんだ」
悩ましいなと頭を抱えた。
そう、ポロッと口から本音を零すと、莉桜が呆れたように視線だけ向けてくる。
「優介は保護者だからでしょ。シノさんいた時からそのポジション」
「俺は、このポジション望んでないんだけどな」
「やめるのは一生無理だと思うよ。優介はお人好しのお世話好きだから」
無関心だが、的確な莉桜のアドバイス。
厄介事を押し付けられてしまったような気もするがなと返事をしつつ、俺は最後の一人、──王様である恭の元に向かうことにした。