ヨルの探偵Ⅰ
ゲームも一段落したことだし、ようやく落ち着いて話ができる。
俺はいつもならしない司会進行のような務めを、自由人たちが次の行動を起こす前にすることにした。
「まず〜、聞きたいことも言いたいこともたくさんあるんだけどさ、月夜ちゃんはどこ?」
「さぁ? オレはここ最近見てないなー」
「……ここ最近って、まさか家にも1週間帰ってないってことじゃないよな〜?」
「帰ってないですよ。姉に何か用があったんですか?」
いや、用とかそんなんじゃなくてですね~……。
言葉を濁しながら、なんで俺だけこんな慌てて、お前らは平然としてるんだよと内心愚痴を零す。自分だけが馬鹿に見えて疲れるわ。
俺と優介はいいにしても、翔や莉桜、恭なんか初対面のくせしてあんまりにも暢気。翔と莉桜なんて馴染むのが秒。もう既に仲がよろしい。
そんでもって、恭はいつまで寝てんの? はやく優介この状況に突っ込んでよ。
……と文句を言いたいけど、優介くんは案外翔くんと気が合うらしく2人でキッチンでご飯を作り始めたから何も言えない。
「はぁ〜、俺こういう役回り苦手なのに〜〜」
「じゃあしなきゃいいじゃん? 蒼兄は知んないのかもだけど、お姉さん結構頻繁に家空けるし、そのうちふらっと帰ってくると思うぜ、オレ」
「……それもそっか」
全く納得いかないけど、虎珀に「案外蒼兄は心配性なんだな!」と言われて俺は仕方なく口を噤んだ。