ヨルの探偵Ⅰ
同じことを考えていただろうマレくんも、首を傾げながら愉しそうに笑って「ファイト」と他人事のように言ってきた。ウザイな。
軽薄なマレくんを睨みつけながら、一旦目先のことを処理しようと判断する。
やるべきことはクスリの所在。それさえわかってあとはぶっ壊して混乱を起こせば、誰かしら動く。クラッカー狩りはその後だ。
「紗夜はネットにクラッカーの足跡残ってないか探ってみて、深追いはしなくていい。マレくんはバックアップよろしく」
「わかりました、ヨル」
「ハイハァイ」
「……で、俺は?」
「夜白は私と一緒にアンダーグラウンド行くよ」
「………………は?」
紗夜とマレくんにはここにいてもらう。
今回は夜白の方が適任のため、サラッとアンダーグラウンドに行くことを述べたのだが、ピタリと夜白の動きが固まった。
紗夜も一瞬動きを止めたが、自分のことではないためすぐ微笑んで「頑張ってください」と夜白に言う。
勿論、他人の不幸は蜜の味がモットーのマレくんも心底楽しそうに一気に憂鬱そうな顔の夜白に「生きて帰れるとイイネ」と口にした。
「……ふざけんな、やだ。絶対やだ」
「マレくんがいかないんだから仕方ないじゃん」
「……じゃあ、ヨルが一人でいけばいいだろ」
「我儘言わな~い。決定事項だよ、夜白。大丈夫だって、多分」
首を振る夜白に、絶対的ではない大丈夫だと言う言葉を掛ける。
ほんとに、なんとも言えない場所だから仕方ない。