ヨルの探偵Ⅰ
夜白と朝霧の両方からその情報が入った時、私の勝ちが確定したのは言うまでもない。
────蘭という女は、ブローカーだ。
やっぱり金曜日はいい日だ。そう思いながら、化けの皮が剥がれた女を見下ろして、にんまりと笑顔を作った。
「貴女が蘭とかいうやつかぁ。その魔女みたいなリップ似合ってないね」
「……なっ、アンタたち騙したわね!」
「……いや、自業自得」
煩い女に、ピシャリと言い放った夜白が面白くて思わず笑いが溢れる。
くすくすと笑っていると、凄むように睨まれたけど牙のない虎なんて怖くない。そもそも、彼女はもう詰みだ。
憐れだな、と思いながら落ちたボトルの瓶の破片を踏み付けた。
割れた硝子。ひっくり返ったソファー。粉々の瓶のボトル。地面に落ちた甘味。散らばった合成ドラックの残骸。……何とも、お粗末な顛末だ。
「あ、潜入お疲れ様。疲れたー?」
「……別に。むしろ快適」
まあ、潜入と言えるのか疑問に思うほどラクな終わり方だったもんね。
では、時を戻そう。
夜白を潜入させて約48時間──。