ヨルの探偵Ⅰ
────────ボンッ。
女の身体が、吹っ飛んだ。
キーン、と耳鳴りが止まない。目眩で足元が覚束無い。辺りは硝煙で真っ白だ。
「──……ヨル! ……ヨル! しっかりしろ!」
「っ、はぁ、……夜、白?」
「よかった、意識ある。動ける?」
「……っ、いった」
何が起きたのか、頭が回らない。
珍しく焦った夜白が視界に映った。辺りには白い煙と焦げた匂いが充満している。爆発が起きたと理解するのに時間は掛からなかった。
────あの女、自爆しやがった。
そう気付いて、重たい身体を何とか起こす。
「ヨル、まって。まだ動かないで。至近距離で爆発した、怪我もある。それに、脳震盪とか……」
「っ、他は? 他、に……怪我人は?」
「大丈夫。そんな威力あるやつじゃなかった。ヨルが気づいたおかげで助かった」
「そっか、はぁ、まさか、だったなぁ……」
夜白に心配されながら自分の状態を確認すると、足や腕に多少の傷はあったけど大きな傷はない。頭はまだ揺れるけど、意識もハッキリしてる。
地下だから煙が残ってるだけで、小規模な爆発だったようだ。
それに少し安堵しながら、目に映った人物に笑った。