ヨルの探偵Ⅰ
慌てて駆けつけたのだろう龍彦が、息を荒くしてドアを破壊する勢いで開けて、こちらに向かってくる。
「────ヨル。おい、怪我は。大丈夫か」
「ん、大丈夫。朝霧たちは? 他の人もどうしたの?」
「一旦避難させたから大丈夫。朝霧は夕霧についてる」
「そっか、うん。よかった」
「よくねェだろうが。怪我なんかしやがって」
だいぶ憤慨してる龍彦に、ごめんねと眉を下げて笑う。
焦っていつものようにゆっくり喋らない夜白も落ち着きを取り戻したのか、ここから移動しようと提案してきた。
そして、過保護な龍彦にお姫様抱っこされて一番近かった夕霧のエリアに向かう。
入口付近では、もう話が通っていたのか難なく通されて朝霧たちがいるだろう場所に誘導された。
「あ、ヨルさん手当てを」
「俺がやる、寄越せ」
「ごめん朝霧、龍彦がやるって。……夕霧は?」
「衰弱していましたが、命に別状はなさそうです」
出迎えてくれた朝霧から救急箱を奪い取った龍彦の代わりに謝りながら、ソファーに座った。
夜白も無言のままちょこんとソファーに座って、顔に付いた煤を袖で拭いてくれる。
何だか過保護な空間で手当てされながら、私たちは事の収拾について話し合いをすることとなった。