ヨルの探偵Ⅰ
神妙な顔持ちの朝霧が口を開く。
「この件については、私たちが後処理をします。分断したエリアはまた再構築して、夕霧が回復次第改めてまとめるということになりました」
「わかった。コッチの奴ら貸すから、彼処さっさと直せ」
「ありがとうございます。お願いします」
夕霧回復後、元に戻すのが妥当だろう。龍彦も納得したのか、人手の足りない此処に手を貸すと私の腕に包帯を巻きながら言った。
龍彦と夕霧はそこそこ関係性があったし、協定も近々結ばれる。そうなれば、エリアの行き来は簡単になる。
ふむ、と納得していれば、朝霧が不意に立ち上がって頭を下げた。
「えっ、なにしてんの」
「ヨルさん、本当に今回はありがとうございました。おかげで夕霧を取り戻すことが出来ました。それと、怪我をさせて申し訳ありません」
「わお、律儀。どういたしまして。あと怪我は朝霧のせいじゃないよ」
「……本当に、ありがとうございます」
深々と頭を下げた朝霧は、多分この件で私だけが怪我を負ってしまったことに悔やんでいるんだろう。気にしなくてもいいのに。
夕霧の件がなかったにしろ、私は間違いなくこの怪我を負っていたのだから。
まあ、責任感の強い男だから仕方ないけど。