ヨルの探偵Ⅰ
深追いしたところで無意味だ。
あちらの方がやり手だ。悔しい。額に手を当てて項垂れる。鈍い頭痛と目眩の誤魔化しでもある。色々としんどい。
「大丈夫か、頭いてェのか」
「ん、いや、大丈夫。目的はなんだったのか考えてたただけ」
「いいから横なっとけ、寝ろ」
強引に膝枕されて、龍彦のゴツイ足を枕に天井を見上げた。足は夜白の太腿に乗っかっている。
目的。何かあるはずだ。ただの嫌がらせにしてはやりすぎだ。
何がしたかった? ここまで大掛かりなシナリオを用意しておいて、呆気なく退場? そもそもいつから? いつから見られていた?
考え事に集中できなく「ゔぅ〜」と唸っていると、朝霧が口を開いた。
「黒幕はクラッカーでしたね。此処にもその手の奴らはいますけど、彼等は厄介ですよね。何度、此処のデータベースに手を出したことか……」
「…………まじかぁ、夕霧は苦労したね」
なんてことを口にしながら、自分の何かに朝霧の言葉が引っかかった。
ゆっくりと起き上がって、「あのさ」と言いかけた時、────バンッ! と勢いよくドアが開いた。