ヨルの探偵Ⅰ
わしゃわしゃと虎珀くんの頭を撫でていると、やきもちやきの弟は自分もと私の手を自分の頭に乗せた。
いじらしくてお姉ちゃん萌え死にそう。年下組はこんなに可愛いのにな。
確実に高校生レベルの問題を解いてる朝陽に、説明を噛み砕いて簡単に教える。言葉を端折っても理解してくれるから朝陽は、元から勉強できるタイプなんだろう。
それに比べて……。
「このままじゃ定期考査赤点確実で、卒業が遠ざかっていくけど、いいの?」
「よくねぇから月夜ちゃん家にこうやってお邪魔してるんじゃ〜ん」
「ここ教えろ、よる」
「……水無瀬家をたまり場にしていいなんて言ってないんだけど」
「よる、これ答えなんだ」
うっるさいよ恭!
ペシっ! と恭の頭を定規で軽く叩く。あ、やっちゃった。叩いたら脳細胞死滅しちゃう。これ以上馬鹿になるのは駄目だ。
落ち着けわたし〜!!
「月夜、休憩すれば?」
「うん、そうする。翔くん膝枕して」
ぽすん、とソファーに寝っ転がって本を読んでた翔くんの膝を借りた。
そこで一息ついて、なんでこんなことになっているのかを数時間前を遡って思い出す。