ヨルの探偵Ⅰ


 ────アンダーグラウンドから解放されて、ひとまずマレくんたちのいるBARに戻った。

 そして10日も家を空けたから一旦我が家に帰ったわけだが、とても嫌な予感がした。玄関のドアを開けて見えたのは、明らかに多い5人分の靴。

 まさかと思いリビングを覗くと、雑魚寝してる4人と珈琲を優雅に飲んで「おかえり」と言う優介くんの姿。


「……ただいま。え、いつからいるの?」

「金曜かな。心配で来ちゃったんだけど、弟くんの言葉に甘えさせてもらって、ずっと待ってたんだ」

「んぐ、ずるい。優介くんにそう言われると怒れないもん」


 これが蒼依くんや恭なら怒れるんだけど、申し訳なさげに優介くんに言われると怒る気力もなくなる。

 それに音信不通で10日間も姿を消せば、どうなるかくらい予想はできていた。まさか金曜からずっといたとは思わなかったけど。


「……? 月夜いる……?」

「翔くんおはよ」

「……おはよ、いつ帰ってきたの」

「いまだよ」


 寝起きでぼんやりしてる翔くんに、何だか母性が芽生えそうと思いながら、つられて起きた莉桜くんにもおはようと挨拶をした。

 ぽてぽて降りてくる足音に、朝陽たちも起きてきたと振り向く。

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