ヨルの探偵Ⅰ


 リビングに入ってきて少し目を丸くした朝陽に変わらない笑顔で「おはよう、ただいま」と声を掛けた。


「おはよう。おかえり、姉ちゃん」

「ん、虎珀くんもおはよ。お目目開いてないね」

「ねっみー。……あれ、お姉さんいる? おはよ!」


 いつも通りの2人に少し安心。私は心の中で「帰れなくてごめんね」と言った。朝陽が今嬉しそうなのがわかるから、敢えて言葉にはしない。

 それから、寝坊助の蒼依くんと恭くんを蹴って起こす莉桜くんの姿を見ないようにしながら珈琲を啜った。


「あ〜、ねっみぃ。……あれ、月夜ちゃんいつ帰ってきたのよ、おかえり〜」

「ただいま。……恭も起きて」

「……よる、はよ」

「寝ぼけてるね、放置でいっか」


 ぽけっとしてる恭は無防備で、眠い雰囲気を全面に出している。

 面倒な恭を起こすことを諦め放置した私は、朝陽と優介くんが作ってくれた朝ごはんを食べて久しぶりにちゃんとしたご飯に頬を緩ませた。

 朝陽がいないと栄養バランスとか考えないから、月夜ちゃんは不健康まっしぐら。心底、朝陽がいてくれて良かったと思いながら朝ごはんを食べ終えた。

 そうして皆が各々リビングでだらけ始めた頃、目に入ったカレンダーで今日が平日の月曜だが、休みなことに気づいたわけだ。

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