ヨルの探偵Ⅰ
10日間も家を空けたのに、何も聞いてこないのは賢明だけど、彼らの方がやっぱり気になるのかちょいちょい探ってくるのにため息をついた。
特に、年上組は想像以上に言葉の端々、表情に現れていてわかりやすすぎる。
アンダーグラウンドの出来事を思い出しながら恭が真顔で向き合ってる英文をチョンっとペンでつつく。
「そこ、熟語だから〝〜に注意を払う〟って訳になる」
「なるほどな」
「勉強は面倒だけど、知識を増やすのは面倒じゃない。赤点で補習になる方がよっぽど面倒で時間の無駄で非効率でしょ」
「うわ、正論言われちまったよ〜」
蒼依くんがバタっと床に倒れ込んだ。
実際、勉強をするかしないかは彼等次第。彼等が赤点を取ろうが補習になろうがどうでもいい。何せ、私には関係ない。
だったら、なんで教えてるか? そんなの簡単。私が彼等に与える影響がどのくらいなのか気になるからだ。
「……じゃあ、息抜きに論理パズルのクイズでもしよっか」
「クイズ?」
「うん。翔くんたちも考えてね」
やる気のない蒼依くんたちのためにちょっと息抜きだと言うと、ソファーで仰向けになって本を読んでいた翔くんが興味があったのか起き上がる。
莉桜くんも少し興味ありげに、私が発する言葉を待って顔を上げていた。