ヨルの探偵Ⅰ
朝陽も虎珀くんもペンを止めたから、全員聞くつもりはあるみたいだね。にこりと人畜無害な笑みを作った私は滔々とクイズを語り出す。
「道が2つ。片方は天国で片方は地獄だ。道の分かれ目には容姿が瓜二つな黒い人間と白い人間が立っている。どちらかは真実を答え、どちらかは嘘しか答えない。質問は一回のみ。貴方は、天国に行きたい。どちらになんて質問する? ちなみに、イエスノーの質問だとした場合ね」
「……こっちの道が天国か、って質問は意味ないよな……」
「そうだよ、優介くん」
きょとんと首を傾げた優介くんに、蒼依くんが「なんで意味ないの?」と言いたげな視線を向けた。
その意図を汲んだのか、優介くんが説明する。
「自分が選んだ道が天国なら真実を言う方はイエスと言い、もう片方の嘘吐きはノーと言う。でも、どっちが真実か嘘吐きなのかわからない状態じゃ、何が正しいかわからないだろ?」
「あ、そっか〜。んじゃ、まずどっちが本当のこと言ってっか、嘘吐きなのか当てないといけねぇのな〜」
「でも、質問は1回。つまり、答えが同じになる質問をしないといけないってことでしょ」
「はあ〜? お手上げじゃん」
莉桜くんはそこそこ頭が回るらしい。でも答えが出ないのか、蒼依くん優介くん莉桜くんは頭を悩ませたまま止まってしまった。
朝陽も虎珀くんも可愛く首を傾げたまま、動かない。