ヨルの探偵Ⅰ


 答えが同じになる質問。いい線いってるのに、莉桜くんはその先の答えが出ない。

 朝陽に「どう? わかる?」と聞くと、顎に手を持ってって考え込んだ様子で口を開いた。


「答えが同じになる質問なら、どっちに質問してもいい」

「そう」

「……」

「──……こっちの道が天国かと聞かれたら、イエスと言いますか」


 朝陽の無言の代わりと言わんばかりに、答えを言った翔くんに、みんなの目が向いた。この中で一番最初に答えに辿り着くのは、君だと思ったよ。流石だね。

 答えを聞いてもわからない蒼依くんが、翔くんに疑問を投げかける。


「どういうこと〜? 俺、理解できねぇわ」

「こっちが天国かと聞いて、嘘吐きはなんて言うか」

「ノーだろ〜?」

「じゃあ、その問いかけに対して、イエスと答えるかって質問なら?」

「ノーって答えたら、嘘吐きなのに真実を言うことになるってこと……。だから真実を言わないためにイエスって言うしかない」

「正解。ノーならどっちが答えようともう片方の方が天国。簡単な論理パズルだ」

「さっすが翔くん、頭の回転早いね」


 翔くんの説明に、朝陽も理解したのかハッと顔を上げた。

 まだ混乱してる蒼依くんや虎珀くんは、もう一回説明してと翔くんに詰め寄っていて、優介くんと莉桜くんは一度で理解したのか「なるほど」と口を揃えて言っていた。

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