ヨルの探偵Ⅰ
〈 仙波 蒼依side 〉
翔と月夜ちゃんがコンビニに行くと出てってから、明らかにリビングの温度が何度か下がった。
この淀んだ空気を何とかすんのは俺みてぇなキャラの奴だよな〜、と仕方なく口を開く。話を振った先は、真顔の恭。
「恭ちゃん、弟に妬いてんのか月夜ちゃんに妬いてんのかどっちなわけよ〜」
「妬いてない」
「はい、ダウト~。お前の真顔なんて読み取れんだわ、俺くらいにもなればな〜」
「やめとけって、蒼依」
あ、やべ。無意識の内に煽ってリビングの温度がもっと下がった。優介が止めてくれなきゃ、もっと空気が悪くなるとこだった。
多分、それはあの子から見えた怪我とキスマのせい。
見つけた時は何とか表情を崩さなかったが、問い詰めてやりたくなるほどには動揺した。でも誰も触れなかったから、敢えて見ないふりをした。
それに、虎珀も朝陽くんもその場にいたし。今もいる。やっちまった。
「……てか、僕ずっと思ってたけど。あの2人、結構仲良いよね」
「確かにな、よく一緒にいるな」
「……そうなんですか?」
反省していると、ふと莉桜が言った言葉に優介と朝陽くんが反応した。