ヨルの探偵Ⅰ
まぁ、誰が見てもあの2人が仲良いのは明らか。
シンプルに波長が合うのか、女が苦手な翔も月夜ちゃんとはよく話すし、あの子の方もどこか気を許してるようにさえ思える。
「翔とも仲良いけど、それ以上に朝陽くんと虎珀のことは溺愛って感じでしょ〜よ」
「溺愛! わかる! よくオレとか朝陽のこと可愛いって連呼してる!」
「なっ? 俺が思うに、年下好きよな〜月夜ちゃん」
「「年下好き?」」
きょと、と首を傾げた朝陽くんと虎珀に、こういうとこが可愛いってなんだろな〜と納得する。
ただ、虎珀くんは納得したように頷いたけど、朝陽くんは心底不思議そうに首を傾げたまま。それにどこか違和感を覚える。
不思議に思うまでもないはずなのに。
「なんか変かな、朝陽くん」
「姉ちゃんはずっとあの人のこと慕ってたから、年下好きってあんまりしっくりこなくて……」
「「「あの人?」」」
また水無瀬家の不思議な事実が発覚するのかと新情報に、俺と優介、虎珀の声が重なったが、今答えを知ることはできなかった。
話を遮るように、着信音がリビングに響き渡る。
恭がスマホを耳に当て、一瞬険しい顔をした。嫌な予感がした。こういう勘は当たるんだ。