ヨルの探偵Ⅰ
見るからに不良らしき人達がひとーり、ふたーり、さんにーん。とにかく沢山。
足を止めるには十分な展開だ。目の鼻の先にコンビニがあるが、とても無視して素通りできる状況でないことは誰が見ても明白だった。
汚い髪色の不良が、私たちに向かって言葉を吐く。
「お? イイ女、連れてんじゃねぇかよ」
「ぼこしてもらってこーぜ、ギャハハハハ」
笑い方すらも汚い。
呆れた目線をくれてやると、私の存在に触れてきた目の前の不良から守るように優介くんが前に出た。
「そんなことは万が一にもさせないけどな、何の用だ?」
明らかにガラの悪い不良に対して、変わらず落ち着いた態度の優介くんは対照的だ。
でも、内心この状況に焦ってるのか眉を少し顰めた。
「見てわかんだろ、bsの橘? お前ら目障りでよ」
「懲りないね、この前アンタんとこの下っ端片付けたばっかなのに」
「あ゛?」
「威嚇だけは達者だね」
暑さで参ってるのかこの状況ですっごい煽る莉桜くんに、相手の不良さんが怫然とする。
相手の不良さん、そこまで強くもなさそうだけど厄介だ。こっちは3人で私というお荷物のおまけ付き。人数が不利だ。
最悪のタイミングだなぁ、と他人事のように感じながら頭を回す。
「惜しい、コンビニまで少しだったのに」
「月夜、後ろ。危ねぇから」
グイッと私の腕を引っ張って背後に隠した翔くんの背中から状況を把握した。あちらさん武器所持。バットとか鉄パイプ。制服に見覚えがある。偏差値低い学校の人達。
3人の反応を見る限り、既に顔見知りっぽいな。bsと敵対してるとこか。