ヨルの探偵Ⅰ
パッ、と勢いよく目を開けた。
過去に浸るのは悪い癖だなと自嘲しながら、口元に手を当てて考え込む様子の優介に視線を向ける。
「確かに、単なる女子高生ではないよな。何にも染ってない無垢な少女にも見えるのに、時々ゾッとするくらい目が暗くなる」
「……優介、そんな風に思ってたんだ」
「ちょっとね、気になってた。朝陽くんに向ける目もね」
優介も気付いていたらしい。注意深く見ていればわかることだ。
苦笑いで眉を下げた優介も、少なからずあの子を気に掛けてるらしい。あの子を見ていると、不安や心配で捕まえておきたくなる。
そんなことを、ここにいる全員が思っているんだったら笑えるじゃねぇの。
この短期間で、随分絆された。
「月夜ちゃん帰ってきたら、腹割ってお話でもしようかね〜」
「僕、嫌がるに一票」
「右に同意」
「あ〜? 辛辣じゃねぇの2人とも、ちょ〜っと月夜ちゃんと仲良いからって調子乗ってんじゃねぇよ〜」
「コラコラ、やめろってば」
俺らに入っていた亀裂が逆再生のように、直っていくような気がした。
自然と笑えていた自分に、多少驚きながらあの子が帰ってくるまで何を話すか考えよう。そう思っていた。
……思っていた筈なのに。