ヨルの探偵Ⅰ
そんなんじゃ女優は無理だねえ! なんて心の中でいいながら、私のペラペラと口から出るでまかせを仙波 蒼依は聞き流している。
そして、飽きてきたのか「話をまとめるとさぁ〜」と言い出した。
「どっちが先にその同業者を見つけ出して、自分に得のある行動をするかのゲーム?」
「そうです! 私が見つけたら警察に突き出します。そうなると夜の探偵屋の情報は聞けなくなりますねぇ、困りますねぇ?」
「それは困るねえ〜。早くどうにかしないとな〜」
ゆるゆる喋る様子から困った様子には見えないが、これは一種の仙波 蒼依の癖なんだろう。焦った時ほど自分を取り繕う。
煽るような言い方に容易く乗ってきた仙波 蒼依にちょろいなちょろすぎる、と内心馬鹿にしながら笑顔を浮かべた。
「ふふ、私が勝ったら今後一切関わることなく情報は手に入れられない」
「俺が勝てば君と夜の探偵屋の情報ねえ〜」
「ですです、頑張りましょうねえ」
路上で傍から見たらおかしな高校生が笑いあってる図だが、バチバチと火花が散ったことに気付くものは誰も居ない。
────さあ、華麗にレディゴー?