ヨルの探偵Ⅰ
強敵エンカウント



 三日月が海に浮かぶ。

 ぷかぷかと浮遊する舟のようだ。


 その深淵の先には、無邪気な正義をふりかざす

 ────ある男の後ろ姿。


 嫌だ、届け。

 必死に手を伸ばす。

 しかし、どれだけ手を伸ばしても、届くことは決してない。










「────待ってる」



 ぽちゃん。

 男の正義が、夜の海に落ちた。


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