ヨルの探偵Ⅰ
サマーバケーション
燦々と光る灼熱の太陽。
日差しが反射して眩しく輝く青い海。
足の裏が焼けるほど熱い砂浜。
「夏じゃあああい!」
「海じゃああああい!」
「「「イェーーーイ!!!」」」
レッツ! サマーバケーション!
暑さで限界突破した私は元気ハツラツ虎珀くんとパリピ蒼依くんにつられて、直射日光を避ける間もなく車から飛び降りた。
後ろから慌てて保護者の優介くんが降りてきたけど、残念ながら誰一人止まらない。
「あ、虎珀くんも月夜ちゃんも! 一旦止まってくれ! 蒼依も乗るなって!」
「ごめん。俺の姉ちゃんと友達が無駄に元気で」
「いや、こちらこそいい歳した蒼依がごめんな……」
なんて会話だ。私含めた問題児のハイテンションにしっかり者同士が代わりに謝っている。お姉ちゃんとしての尊厳が危うい。
私は駆け出した道をUターンして、ぴょんと朝陽に飛びついた。
「ごめんね可愛い弟! お馬鹿な姉を許して!」
「大丈夫。それより暑いから抱きつかないで」
はい! すみません!
朝陽から離れて、代わりに旅行カバンを受け取る。そしてそのカバンをまたぶんどられて手持ち無沙汰になった。
顔を上げると、少し暑さに参った翔くんが色気増し増しで横に立っている。
「俺らが旅館に荷物置いてくるから、月夜は先に着替えてろ」
「ん、ありがと! 翔くん!」
優男翔くんの言葉に甘えて、着替えだけ受け取る。
何故だろう。年下の方がしっかりしている。この現象はなんだろうね。不思議だ。