ヨルの探偵Ⅰ
面倒臭いの極みだ。何とかなるとは言え、仕事に支障が出てはたまらない。
おわりそうにない愚痴を零し、紗夜の入れてくれたレモンティーをぐったりとだらしない姿勢で飲んだ。
「ヨル、大丈夫ですか? 彼等は少々大変そうですが」
「んー、多分大丈夫。それより依頼がいくつかあったし、こっちの問題も何とかしないと」
「ソウダネー。昨日もデンワきてたヨ」
「えー、みんな都市伝説を信じすぎじゃん」
見えないものを信じすぎて、なものに捕まるぞ、なんて思ってるとぽつりと夜白が呟く。
「……いるけどな、夜の探偵屋」
うん。確かにいるけど。
夜白の言葉を聞いて、私は黙った。御託を並べたけど、噂を信じたものたちによって私たちの存在意義は確立されているから。
てことで、現実逃避はやめ。
気紛れマレくんはちょっかい出してこなければいいとして、夜白と紗夜には別行動してもらう必要がある。
それにここにはいない、彼にも動いてもらわなくてはいけない。頭の中で段取りを考える。
それで、ふと、今回の報酬について考えた。
「どうなるかなあ」
「もう解決したあとのことを考えてるんですか?」
「……ほっとけばいいだろ」
楽観的な2人に、そうなんだけどと口篭る。
日中学生として外を出歩く私からすると、考えすぎくらいが丁度いいんだよ。