ヨルの探偵Ⅰ
癒しを求めて、視界に入ったふわふわマレくんの髪をもじゃもじゃにする。
そうすれば猫のように目を細めるから、マレくんの前世はやっぱネコ科の動物に違いないと柔らかい髪を撫でながら思った。
「ボクの髪好きだネ、ヨル」
「うん……。私、猫好きだから猫っ毛猫目のマレくんの見た目は好き……」
「アレ? 中身は?」
中身は溶けたチョコよりどろどろしてる……と口に出さず、無心で頭を撫でる。
サラサラストレート黒髪の紗夜も触りたくなるけど、手触りのよすぎるマレくんのハニートーストのような髪が好き。
髪の色と同様に、甘い匂いのするマレくんは極度の甘党であってシュガー100パーセント。
「糖尿病まっしぐら……」
「チョット、こわいコト言わないでヨー」
ふすふす、とマレくんの髪に顔を埋めた。
年中甘い匂いさせてるマレくんだけど、髪まで甘いなんて末期だと思う。
将来は糖尿病まっしぐらだと言うと、ぎょっとしたマレくんが嫌そうに言葉を返すが、甘い匂いを堪能してる私は言葉をスルーした。
「(……甘いと言えば)」
そう言えば、甘い顔と言えば仙波蒼依もそうだったけど、マレくんはまた違った別枠の甘い顔をしていたと思い出す。