ヨルの探偵Ⅰ
焦げたフライパン。焦げたホットケーキ。
フライ返しを持ったまま、何故こんな真っ黒焦げの朝食が出来上がってしまったのか。早朝午前6時、皆目見当もつかない状況に私は軽くフリーズしていた。
「おはよ、姉ちゃん…………なにこれ」
「おはよう、可愛い弟。今日の朝ごはんはホットケーキだよ」
「真っ黒すぎてホットケーキの面影もないけど」
んぐ、何も言えない。
謝ることしかできず、しょげながら「ごめんよ」と眉を下げて言えば、呆れた口調で「何もしないで座ってて」と言われて渋々ダイニングテーブルの方に行く。
何が原因だったんだろう。
発端は、早起きしてしまったことだろう。調子に乗って、今日くらいは私が朝ごはんを作ろうと意気込んでレシピも確認せず、せっせと強火で調理した。
よし、原因は解明したね。
「姉ちゃん、原因わかってるんでしょ。今後キッチンは立ち入り禁止だから」
「えっ、立ち入り禁止は酷い!」
「こんなダークマター生み出して、調理器具ダメにして……なにか反論は?」
「ないですね!」
あるわけないですね! 黙ります!
ピチチチ、と鳴き声が聞こえ、窓の縁で休憩してる鳥を観察しながら、私はあの日のその後について回想する。