ヨルの探偵Ⅰ


 まず、ラブホで健全にぐーすか寝た私と翔くんは朝のアラームではなく、怒涛の鬼電によって目覚めることになった。

 「あ、やばい莉桜くんからだった……」「二度寝」「ラブホに宿泊したのバレたらまずい」「眠い」「早く出なきゃ」「ぐー……」「え、翔くんまた寝た……?」と一悶着ありまして、少々飛んで水無瀬家。

 莉桜くんからの追及にナチュラルにとぼけつつ、一応詳細を避けて和解したと説明。

 心配してくれた寝不足の朝陽を愛で、これまた心配で疲れ気味だった優介くんを労り、やたら距離の近い恭を蹴飛ばした。

 そして、最後にやってきた蒼依くんと虎珀くん。


「数日実家帰る! でも学校こっちの家の方近いからこれからもお世話になる! よろしく! 実家には度々帰ることになったぜ!」


 と、虎珀くんが息継ぎせず言い切り、全員呆気に取られたところで丸く収まった。ウン。

 花江さんから感謝と謝罪、これまでの生活費云々も返されて、丸く丸く収ま──












 …………丸く収まっ……た?


「いやっ! おっかしいじゃんっ!?」

「うるさい姉ちゃん」


 バン! とテーブルを叩く。

 もちろん朝陽に叱られ、おずおずと椅子に座ったけど、問題はその後だよ!!!


「ちょっと危険かもしれないし、やべぇかもしれないので当分外に出ないでくださいってあほか! 説明が足りてない! 次会ったら覚えてろbsめ……。けちょんけちょんにしてやる……!」


 そう。

 また性懲りも無く、こそこそして動いてるあのおバカな不良軍団。彼らのせいで数日前からお家に軟禁状態なのだ。

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