ヨルの探偵Ⅰ
夢を見ることなく、目が覚めた。
ぼんやり意識を覚醒させながら、手元にあるスマホで時間を確認すると16時。準備しよう。
起き上がって、クローゼットから男物の服、ウィッグ、ブーツを選んでベットに並べる。簡単にメイクして金髪のウィッグを被れば、美青年のできあがりってね。
「コンタクトは、外しちゃお」
夜だし、目立たないはず。
コンタクトを外すと、鏡にオッドアイの瞳が映る。
ブラウンとグレーの2色。そこまではっきりオッドアイというわけでもないけど、小さい頃に気味が悪いと言われて、以降隠すようになった。
男装は久々だけど、思いの外様になってる。この瞳も美青年なら謎めいて好かれそうだ。
体のシルエットが分からないフード付きの黒の服と身長底上げのシークレットブーツで完成。約束の18時まで少しあるけど、早く向かってしまおう。
朝陽に気付かれないうちに家を出て、外に出てから出掛けると連絡を入れる。
ごめんよぉ……! 可愛い弟!
私はべそべそしながら、人気のない待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所は、遊具も街灯もないポツンと場違いなとこにある公園のベンチ。くすんだ木のベンチに腰掛けながら、相手を待つ。
男装してること伝えてなかったけど、わかるかな。
夜白の女装に気付かなかったしな、と呟いて、足をぷらぷらさせる。
──次の瞬間、背後からホワイトムスクとタバコが混ざった甘い香りがして、呼吸が止まった。
「よォ、ヨル」
「──龍彦、……んッ!」
背後の気配に振り向こうとするも、嘲笑うかのように顎を上に向けられ、唇を吸われる。