ヨルの探偵Ⅰ
杜さんが車に乗って去り、僕たちも人の目から逃げるようにその場を後にした。
日差しに照らされて限界だったし、コンビニ店員にも通りすがりの人にも見られ、注目を集めてた。あのコンビニ、使い勝手よかったのに次から行くの気まずい。
それに、それ以上に懸念すべきなのは人目。あんな人通りの多い場所で一悶着あったら噂が広まる。
厄介なことにならないといいけど。
「……あのさぁ」
みんないつもより足早で、月夜の家に向かう。気持ちだけ先走ってる他の4人に僕は声を投げかけた。
僕の声に、先頭を歩いてた蒼依が最初に振り返って足を止める。横にいた翔や優介、斜め前の恭も、不思議そうに立ち止まった。
えー……、止まってうだうだ話す内容でもないんだけど。歩きながらでいいのに。
これ以上、通行人に奇怪な視線を向けられるのも嫌だから、僕は敢えて足を止めずに蒼依を追い越した。
「さっきのおっさ……じゃなかった、刑事の杜さん。僕たちのこと聞いてこなかったってことは、知ってたってことだよね」
「言われてみれば、そうだな。興味はなさそうだったけど」
「なんで知ってたのかな」
「そりゃあ〜、月夜ちゃんが俺らのこと話したんじゃねぇの〜?」
うん。そうだね。そう考えるのが一番妥当だ。
そんなことか、とまた歩き出した蒼依。優介も恭も大したことではないと判断したみたいで、僕の後ろをゆっくり追い掛けてきてる。
僕の、不安な思い込みからかもしれない。
でも、もし──そうじゃなかったとしたら?
月夜の交友関係を、個人的に逐次把握してるとしたら、それが不純な動機でないとしたら……。なんの理由だろう。
そこまで過保護になる訳……。