ヨルの探偵Ⅰ
疲れた。非常に疲れた。
和解した後、すぐマンションに戻ったわけだが疲労感がすごい。
ごろんとソファーに寝そべり、クーラーで体温が急激に下がっていくのを感じながら目を瞑る。
「月夜、僕の分もスペース空けて」
「はぁい」
「えぇ。月夜ちゃんの足、思いっきり莉桜の膝乗っかってるけど」
問題ないよ〜う。
私と莉桜くんが距離感近くても間違いなんて起きないし、カップルのようにも見えないからね。
色々あったにせよ、炎天下の外で長時間突っ立ってれば気力もなくなる。
完全に暑さにやられてぐったりの私と莉桜くんに、暑さに参ってもまともな優介くんが何か言ってるけど、むりむり。今日は動かないってさっき決めたから。
ごろんごろんと自堕落な姿の私に「コンビニどこまで行ってたわけ」と朝陽が言ってくるけど、困ったことにすぐそこのコンビニだよ。
言葉も表情も濁しながら、私はぴゅうと下手な口笛を吹いた。
「じゃあ、えっと、何から話そうか……」
「うんうん、話し合いねぇ……ところで翔くん、どうったの……」
「暑いから」
「なんも理由になってないじゃねぇの離れなさい」
「やだ」
うう。仕方なく目を開けた。
至近距離でキラキラのブロンズが視界に入る。もちろんブロンズと言えば翔くんだ。これまた私との距離感バグりまくりの人物が一人。
今もフローリングに腰を下ろし、ソファーの座面に肘をかけて、私の顔と数センチのところにいる。
それが不満らしい蒼依くんと恭は腕や足を引っ張り引き離そうとしていて、逆にイソギンチャクの如く翔くんは意固地になっている。
うんうん。わかったから……優介くんが疲れてきてるからやめたげて……。
「もういいよ、気にしないからー」
優介くんに助け舟を出すつもりでそう言ったのに、蒼依くんと恭からは心底不満そうにされた。解せない。
話が進まないでしょーが。