ヨルの探偵Ⅰ


 気づくのが遅すぎる彼らが、私の言葉を飲み込むまで多少時間はかかった。

 莉桜くんだけは「だから言ったのに」と呟いていて、私の予想通り、彼だけは余計なものに囚われてないんだなと再確認する。

 莉桜くんは、自身のトラウマに関係ないことには冷静に達観できている。

 他は、約1年前のあの出来事がトラウマなんだろう。

 翔くんに関してだけは、別だろうけど。


「とにかく! これからは対策大事! 虎珀くんですら呆れてたからね!」

「うわ〜、それはショックだわ〜……」

「兄の威厳なし! 姉の勝ち!」

「……!? 蒼依とよるは、兄妹だったのか……」

「恭、違うぞ。違うからな?」


 うん。恭はお口チャックして。恭が口を開く度、話が逸れてく気がするから。

 なにをどう解釈すれば、私と蒼依くんが兄妹になるのやら。蒼依くんが兄とか考えるだけでむりです。

 冷え冷えの私の視線に焦った優介くんが弁護してくれて助かった。翔くんすら「愚兄」って嘲た感情の目してたからね。


「話が脱線してるから戻すよ!」

「だね。月夜ちゃん、どこまで知ってるか教えてもらっていいかな?」

「ファングが捨て駒暴れさせてた。目的は私で、勢力分散ってところ。だからみんな今回のこと黙ってたってくらい」

「ぜ〜んぶ知ってるってことな〜」


 無言で頷く。

 それに蒼依くんは「俺らダサすぎ〜」と自嘲して笑いフローリングに寝転んだ。そうだよ。とっても反省してくれ。

 君らは目立つ。SNSで目撃情報あるからね、と付け足せば優介くんまで項垂れた。


「私が危ないのはわかったけど、これじゃあ堂々巡りだよ」


 策士なアチラさんに負けちゃうよ、なんてね。

 負けじと、コチラも作戦会議! 意気込んでいきましょう〜!

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