ヨルの探偵Ⅰ


 そんなこんなで暫し悩んだ末、判断材料の少なさからか決断ができなかったのか、我らが王様である恭に決めてもらうことにしたわけだが。

 丸投げされた恭は、ふと考え込むように目線を下げる。

 みんなが恭の発言を待つ中、不意に視線を上げたかと思ったら、今度は私の顔を見つめたまま動かなくなった。

 え、なに……。


「もっと詳しく」

「……?」

「納得させてくれ」


 あ、プレゼンしろってこと?

 圧倒的に言葉が足りない恭が、真っ直ぐ私を捕らえたまま言うから、挑戦のようなその言葉を笑顔のまま受諾した。

 す、と息を吸う。


「兵力減らすことで、統率力を崩し、混乱を招いたところに、爆弾を投げ込む。いくら雑魚の集まり、捨て駒といっても、動ける人間を動けなくすれば頭は困る。その隙を狙い、行動を制限させるような罠を張る。以上」


 言い終え、「どう?」と恭に言葉を求めた。

 小さく「そうか」と呟いた恭からは、どう判断したのか全く窺えないが、他にいい案もない。

 また少し悩んだ後、決めたようで顔を上げた。


「────決まりだ」


 迷いなく言い切った恭に、私は笑う。

 恭の決めたことに文句はつけない優介くんも蒼依くんも渋々納得したようで、私と莉桜くんは満足気に目を合わせた。

 そして、元気な虎珀くんの乱入によって細かいことは後日話し合うことになった。

 ひとまず、めでたしめでたし?

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