ヨルの探偵Ⅰ
窓の外を眺めていると、必然と横にいる莉桜くんの整った横顔も目に入る。丸みを帯びたローズマダーの髪が今日も綺麗に日に照らされている。
そう言えば、唄ちゃんが教えてくれた千尋くんの容姿は聞いた感じ莉桜くんと少し似てるような? 私は莉桜くんの顔をまじまじと観察してみた。
ぱっちりした丸目を長い睫毛が囲んで、ヘーゼルのような瞳の色。顎にほくろ発見。唇は薄い。小ぶりな鼻先はちょんと上がって綺麗な鼻筋。
いつ見ても、シミ一つない透けそうな白い肌。女子として負けた気がするのは何でだろう……?
「なに、しつこいよ。いつまで僕の顔に見惚れてんの」
ふと考え込んでると、ジト目の莉桜くんが窓の景色から私のほうに視線を移した。
「ぴえっ……バレたか……」
「そりゃ、横でじっと見られてたらどんだけ鈍いやつでも気づくでしょ」
「えへへ。じゃ、次は優介くんの顔見とくね」
「あ、次は俺なのか……」
何でだろう。ジト目の莉桜くんも綺麗である一定の層にはご褒美になりそうだ。しかし、機嫌を損ねてはこの後待ち受ける説教にも影響が出てしまう。
てことで、苦笑いしつつも嫌がらない優介くんにシフトチェンジしようとしたら、横から「は? 嫌なんて言ってないけど」とツンデレが返ってきて萌え。
恭の見た目とマイペースすぎる中身のギャップもすごかったけど、莉桜くんの懐に入れた人への甘さもギャップが凄くてずるい。
……まって、あれ? なんか忘れてるね?
「一番喧しい蒼依くんとマイペースキングは?」
「補習」
「なるほど」
だよね。
夏休み満喫してたけど、彼等は補習組。どうせ補習もバックれてたけど、多分本気で単位危なくなったんだろうな。