ヨルの探偵Ⅰ


 パステルピンクの猫足ソファーで、花柄の可愛いティーカップで紅茶を飲みながら新聞を読んでる優介くんパパこと聡さん。

 優介くんの顔をちょっと可愛らしげにしたような顔立ちだ。それと、眼鏡が一緒。

 のほほんとした様子で紅茶を飲む姿に、謎の癒し効果を感じながら、縁さんにキッチンテーブルまで促され問答無用で朝ごはんにされた。


「あの、朝ごはんまで頂くことになってすみません……」

「ふふっ、いい子ね〜。でもほんと気にしなくていいのよ〜! こんなことはしょっちゅうだから、恭くんも蒼依くんも遠慮なんてないわよ〜」

「僕、メープルシロップ」

「はいはぁい。あ、ミルクティーは?」

「いる」


 うん、遠慮ないね。莉桜くん。

 まあ家族の一員だもんねと納得しつつ、いるはずなのに見当たらない翔くんの姿を探す。すると、慌てた様子の翔くんが階段から降りてきた。

 お、いた! と目を合わせれば、そのまま勢いよく抱きつかれる。

 うえっ、朝からぐるじいいい。


「月夜、おはよ」

「お、おはよう翔くん。ちょっと苦しいよ…」

「うん」

「うん、じゃなくて離して……」


 首締まってるからね、とポンポンと腕を軽く叩いて離してほしい旨を伝えるけど、一向に離してくれる感じがしない翔くん。

 結果、私たちの抱擁を目撃した縁さんの「あらぁ、月夜ちゃんは翔とラブラブなのね〜」の言葉で「そうだよ」といけしゃしゃあと嘘をついた翔くんに「母さん、違うよ」と訂正してくれた優介くんの一言で、事は落ち着いた。

< 441 / 538 >

この作品をシェア

pagetop